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日本FP協会創立30周年 〜社会でさらに必要とされるFPであるために〜

NPO法人日本FP協会は、2017年11月19日に創立30周年を迎えました。

協会が創立された1987年11月はその前月に起きた世界同時株安(ブラックマンデー)による金融・経済混乱のさなかでした。80年代後半の日本はバブル経済に沸いた時期で、FPの定義も、現在の『ライフプランに基づく家計管理や資産形成』という概念ではなく、『財テク』あるいは『財テクを指南する人』といったような偏った理解がされていました。90年以降のバブル経済の崩壊は、FPに対する認識を『財テク専門家』から『ライフプランを重視した家計のホームドクター』という本来あるべき姿に変わる転機となりました。

その後、1997年のアジア通貨危機、2000年代初頭のITバブル崩壊、2008年のリーマン・ショックによる世界同時不況など金融・経済の混乱期を経ながら、金融サービスにはさらに高いFPスキルが求められるようになりました。生活者もライフプランを自己責任で計画する必要性を強く感じてきたことから、FP協会の会員数は増加を続け、現在では会員数が195,000人を超える国内最大級のNPO法人となり、世界のFP団体の中で、規模だけでなく組織運営のクオリティに関しても高い評価を受けるようになりました。

今後のFP協会の役割について考えてみたいと思います。世界の経済はポピュリズムが台頭し、ブレグジットやトランプ政権の誕生など予期せぬ出来事が起こりました。日本でも人口減少による多様な社会問題や深刻な財政問題を抱え、残された時間は限られています。国民の経済格差が拡大する中で、将来に不安を覚える生活者を支援するために、少額投資非課税制度(NISA)の創設、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者拡大などの措置が講じられました。『貯蓄から資産形成へ』の流れが発展するためには、FP協会を含む関係者が制度普及に努力することに加えて、生活者の金融リテラシー向上に努めていかなければなりません。今後のFPに対する社会的使命はますます重要になると思われます。

FP協会ではFP実務に関する2つの『Fの影響』に注目しています。その1つがフィデューシャリー・デューティー(Fiduciary Duty)です。昨年から「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営に関する原則)」の徹底を求める金融監督当局の強い姿勢が明らかになりました。時代は確実に「顧客利益重視」に移行しています。

もう1つのFは、フィンテック(FinTech)です。第4次産業革命と呼ばれるテクノロジーの進化で、人工知能(AI)やロボット、IoTやビッグデータ、さらにシェアリング・エコノミーがFP業務に及ぼす影響を検討して、その技術進歩を実務に取り込めるようインフラ整備を進める必要があります。最近の米国の研究でも、FinTechなどのデジタルアドバイスと人間であるFPのアドバイスの組み合わせが、単なる顧客満足を超えた、顧客が感動するような業務水準につながると報告されています。顧客心理も含めて、複雑な状況に臨機応変な相談ができてこそのFPであり、ますます力量の高い本物のFPが求められる時代になっていくでしょう。