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デジタル医療の進化 ~AIで早期発見、診断も正確に~

高齢化とデジタル化。近年変化のスピードを感じる二つのキーワードです。この二つのキーワードにマッチし、関心が高まっているのが医療の分野です。地方の高齢化による医師不足や財政を圧迫する医療費の上昇は、日本の課題として年々大きくなっています。そこで注目されているのが、人工知能(AI)やビックデータを活用した医療のデジタル化です。多忙を極める医師の業務効率の改善と、診断精度の向上による病気の早期診断・治療に期待が高まっています。

富士フィルムは、国内2000以上の医療機関にコンピューター診断撮影装置(CT)などで撮影した画像をもとに3D画像を作成するシステムを提供しています。しかし、3D化が難しい臓器などは正確に再現することができないため、AIに大量の画像を学習させることで、より正確な3D画像を再現しようとしています。富士フィルムは病院から提供された数万枚の画像をAIに読み込ませ、臓器の形や位置などを学習させています。正常な部分と疾患との差異をAIが判別できるようになれば、医師はより正確な診断ができるようになります。

消化器用の内視鏡で世界シェアトップのオリンパスは、AIを活用した新技術の開発に取り組んでいます。内視鏡検査の画像データをAIに学習させ、大腸にできるポリープの有無を自動的に判別するシステムを開発しています。

このほかニコンは自社の眼底カメラを使って糖尿病網膜症を早期発見するAIシステムを開発中。眼科関連では医師による眼底疾患診断をサポートするAIシステムの実用化を目指している会社もあります。膨大なデータを高速処理できるようになったことで医療のデジタル化を加速させています。

日立製作所は尿に含まれる代謝物を検査して、がんを早期発見する技術を確立しました。尿には2000種以上の代謝物が含まれていて、この代謝物に統計や機械学習などに基づくデータ解析をかけると、がん患者に特有の代謝物を抽出することができるといいます。がんの早期発見を試みる研究では血液を採取する方法も知られていますが、尿を使う検査は手軽さが特徴で、小児がんを中心とする数種類のがん検査への活用を目指しています。

コニカミノルタもがん細胞特有のたんぱく質を分析できる技術を開発しました。乳がんなど、それぞれのがん種に特有のたんぱく質を定量分析し、それぞれのたんぱく質がどの細胞のどの位置に、どれだけの量が出現するかを検証します。早期発見につながる技術として期待されています。

ダ・ヴィンチで知られるロボット活用も医師の業務負担の軽減だけでなく、手術技術の平準化として利用が進んでいます。

オンライン診療で知られるメドレーは、国が進める未来投資戦略の担い手として存在感を増しています。オンライン診療については昨年診療報酬改定においてオンライン診療科等が創設され法整備も進んでいます。オンラインによる服薬指導の活用や電子処方箋の普及など、全国的な保険医療情報ネットワークから調剤情報や患者情報を共有・連携し、地域医療の利便性の向上に向けた取り組みが行われています。

これからもますますデジタル化が進みます。今後のデジタル医療から目が離せません。


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