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「資産活用」と「資産形成」 〜受け取りを見据えた資産戦略〜

長生きの時代では、働けるうちは働きたいと思う人が増えています。事業主である医院の先生も、昔は退職の時期を65歳や70歳に置いていましたが、今は75歳・80歳と退職の時期を伸ばされる方が多くなっています。健康寿命が伸びている昨今、出来るだけ長く働くことに抵抗がなくなってきているのかもしれません。

「退職」の言葉も意味合いが少しずつ変わってきています。退職は「職を退く」つまり仕事から一切離れてしまう意味合いで使われてきましたが、長く働く現在では「退職」を仕事の面から考えるのではなく、お金との向き合い方で考えるようになってきました。「退職は、勤労収入が支出を下回った時」と捉える考え方です。

現役時代は、総収入=勤労収入、総支出=支出(消費支出+税金・社会保障料)+貯金(資産形成)で考えられます。お金と向き合う退職後では、総収入=勤労収入+公的年金+資産からの取り崩し、総支出=支出(消費支出+税金・社会保険料)となります。

上記の式は「総収入=総支出」の関係で見ています。現役時代は勤労収入が支出を上回った分を退職後のための貯金や資産形成に回し、退職後は勤労収入(受給年齢以降は公的年金の受け取り分も含めて)で賄えなかった支出分を「資産から取り崩す」ことでカバーすることになります。

医院の先生に置き換えて考えると、現役時代は勤労収入の何割かを将来の老後の資金のために資産形成をし、60歳を超え少し収入が減ってきた時は資産を引き出さず運用を続け、

いよいよ支出が収入を上回ってきたら、資産から取り崩しながら運用を続けます。そして最後は運用からも引退して「使うだけの時代」へとつながっていきます。人生最後の時まで資産を持続させることを最終ゴールとして、それぞれのステージを遡ってゴールを決めていきます。現役時代を「勤労収入>支出」の時代と考えると、「資産を使いながら運用する時代」の始まりが退職となります。その間に「収入=支出」の時代があり、もう資産を積み増すことはできないが、まだ引き出す時代にはなっていない時と言えます。この「引き出さないで運用する時代」を少しでも延ばすことが、退職後の生活を念頭に置いた資産形成として大きな意味を持つことになります。

長生き時代では、退職後の「資産活用」を考えながら、現役時代の「資産形成」を考えることが大事になってきます。100歳まで資産を取り崩せるためには、75歳にいくらあればいいか、75歳の目標を達成するには60歳でいくらあればいいか、といった感じです。

資産を作り上げる資産形成に対して、「資産活用」は出来上がった資産をどのように引き出していくかを考える必要があります。その際、税負担を減らす税戦略も大切な考えです。個人年金は、受け取る際には公的年金と同様に所得課税の対象になります。税率や社会保障などの条件を念頭において、いかに効率よく引き出すかはまさに税戦略と言えます。どういう商品に資産をおいておくかも重要になります。これからは「資産活用」と「資産形成」の両面から資産戦略を考えていく時代です。


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