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健康経営を医院経営に活かす 〜従業員満足が大きく変わる施策〜

長生き時代になった日本で注目されているのが「健康寿命」です。健康で長生きすることは誰もが望むものと言えます。しかしながら、平均寿命と健康寿命にはまだ大きな開きがあるのが実情です。こうした中で、健康で長生きを目指す取り組みを実施する医院・企業の存在が重要になっています。

医院・企業は、その規模のいかんにかかわらず従業員の健康管理に積極的に取り組むべき時代になりました。これまでは従業員の健康管理については、労働安全衛生法上の最低限を遵守していればよく、あとは自己責任の問題と考えられていました。ところが、今や医院・企業は、従業員の健康維持増進のため積極的に関与し施策を講じることが求められています。

健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法です。従業員等の健康増進や労働衛生等への取り組みにかかる支出をコストではなく、経営的な投資として前向きに捉えることです。医院・企業が経営理念に基づき、従業員等の健康増進に取り組むことは、従業員の活力向上、生産性の向上をもたらし、患者様の満足度の向上、医院・企業イメージの向上につながります。

人口オーナス期(働く人よりも支えられる人が多くなる状況)にある日本において、今後ますます労働人口減少が危ぶまれる中、限られた人員でいかに生産性を高めるかが医院・企業の経営課題といえます。特に中小企業にとっては従業員一人ひとりの比重が大きいため、人材確保、効率的な人材活用を図る必要があります。そのためにも、健康経営を実践し、この取り組みを継続していくことが重要になっています。

健康経営には、生産性向上、医院・企業イメージの向上などのプラスに働く「攻め」と、事故防止・労働災害発生の予防、病気の予防による企業負担の軽減などのマイナス面を低減する「守り」の両面があります。「攻め」と「守り」は表裏一体で、バランスよく取り組むことが成功のカギを握ります。

プレゼンティーイズムとアブセンティーイズムと言う言葉を聞いたことはありますでしょうか。「出勤はしているものの体調が優れず、生産性が低下している状態」の労働損失をプレゼンティーイズムといいます。体調が優れない原因として、慢性疲労症候群、うつ病、腰痛・頭痛、花粉症などアレルギー症等が挙げられます。一方で何らかの病気によって仕事を休む状況で、病気による労働損失をアブセンティーイズムといいます。

昨今の欧米を中心とした数多くの研究によると、プレゼンティーイズムによって企業には見えない労働損失が発生しており、その額は、医療費や病気休業にかかる費用よりも大きいとされています。健康経営の実施はこうしたプレゼンティーイズムの対策にも効果的に活用されています。

経済産業省では、健康経営銘柄と健康経営優良法人認定制度を設けています。健康経営優良法人認定制度は、健康経営を実践している優良な大企業や中小企業等の法人を認定する制度です。健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員の求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、社会的に評価を受けることができる環境を整備しています。是非、この健康経営の取り組みを医院経営に取り入れてみてはいかがでしょうか。


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