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エイジレスライフで変わる高齢者 〜高齢社会の経済的リスクと金融サービスのあり方〜

日本は世界トップレベルの超高齢社会となり、高齢者といわれる65歳以上の人口が総人口に占める割合もすでに27.7%(2017年10月1日時点)と年々上昇し続けています。

「高齢者」や「老人」といった言葉からどのようなことを思い浮かべるでしょうか?
高齢者の能力や機能は、年を重ねることで低下するという「喪失」を連想させるイメージが一般的であったように思います。しかし、今後は、維持できる機能、更には取り戻すことのできる機能へ着目する必要があります。
「エイジレスライフ」とは、内閣府によって推し進められている、高齢者の生活様式です。高齢者が年齢にとらわれずに、自らの責任と能力において、自由で生き生きとした生活を送ることをいいます。
世界に先駆けて超高齢社会となった日本では生涯現役を目指し、健康の維持はもちろんのこと、「エイジレスライフ」という生き方が求められているのです。

ちょっと前まで、「人生80年時代」と言われていましたが、今や「人生100年時代」。‘アクティブシニア’と呼ばれる元気で活動的な高齢者の存在が、消費マーケットなどに欠かせないものとなりつつあります。
そして最近では、老年学・医学的な見地から、高齢者の定義を、65歳以上から75歳以上へと引き上げるべきだという提言も出されています。
たしかに、高齢者といっても、さまざまな状態や環境の方がいて、ひとくくりにはできません。それぞれのニーズや金融サービスのあり方も異なっています。

元気なお年寄りが増えるにつれ、高齢者の定義を見直す動きも出てきました。
一般的に、高齢者といえば暦年齢65歳以上を指します。しかし最近の高齢者は、10~20年前に比べて、身体機能変化の出現が5~10年程遅れており、65~75歳未満のほとんどの人が心身ともに健康で、活発な社会活動が可能だと言います。
これらのデータを基に、日本老年学会・日本老年医学会による合同ワーキンググループでは、65~74歳までを「准高齢者・准高齢期」、75~89歳を「高齢者・高齢期」、90歳以上を「超高齢者・超高齢期」と区分する提言が行われました。

高齢社会における経済的なリスクを考えてみましょう。リスクとしては、おもにつぎの3つが挙げられます。

①長寿化の進展にともなって、‘資産寿命’が‘生命寿命’よりも短い可能性がある。
②長生きを不安に感じて、十分な資産があるにもかかわらず、過度の節約に励む。
③判断能力、認知能力の低下によって、家計管理が困難で、資産構成を状況に応じて見直しができない。

これらのリスクに対してどのようなことを考えておいたらよいでしょうか。

高齢期の家計は、次の4つに分けて考えるという基本的な考え方をおさえておきましょう。
①「ふやす」…定年退職後も働いて、いかに収入を増やすか。退職金の運用などで、いかに資産を増やして、預貯金を取り崩す時期を遅らせるか。
②「つかう」…老後の生活費やさまざまな費用にお金を使うが、すべてが一度に必要なわけではない。期間別に分けて考える。
③「のこす」…子どもや家族に残すお金。葬儀費用や事業承継、財産の移転など。
④「そなえる」…病気や介護、災害などに備える。認知機能や判断能力が衰えた場合に備えた財産管理を構築しておく。

「そなえる」は、保険などで経済的なことを備えると同時に、家族信託や遺言など制度的に備えることも必要です。


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