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老後のお金もスマホで管理 〜認知症対策にも有効活用〜

認知症への備えは、誰にとっても避けて通れなくなっています。2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるという推計もあります。高齢になると、悪質商法などの被害にあうリスクも高まります。子供にとっては、高齢の親が使うお金の管理や遺産整理は難しい問題です。特に認知症で判断能力がないと、銀行は預金の引き出しに応じてくれませんし、家族が代わりに引き出すこともできません。その対策として後見人制度や民事信託などがありますが、まだ一般的に利用されるレベルにはなっていません。その中、各信託銀行は利便性を高めようとスマホを使った信託サービスを始めています。

三菱UFJ信託銀行は3月から、高齢者の家族らが本人のためにお金を引き出せる信託商品の販売を始めました。「つかえて安心」は、スマホアプリを使って家族や親族が入出金を確認する事ができます。

認知症になった後ではお金の管理が難しくなるので、なる前に銀行と信託契約を結びます。例えば、高齢の契約者が自分の子供などの家族をお金を管理する「代理人」として指定します。代理人となった子どもは、親のために使った出費について裏付けとなる領収書をスマホで撮影し、アプリを通じてその写真をお金の管理を委託した信託銀行へ送ります。信託銀行は、代理人でない兄弟や親族のもとに払い出しの請求があったことをアプリから通知し、兄弟間や親族間で不正な利用でないことを確認することができます。契約者である高齢者も自分のためにお金を使っていることが分かり、子どもなどの代理人も、払い出しの証拠が残るので、他の親族に説明がつきやすくトラブルの回避にもなります。

信託銀行のこのサービスは、領収書の送付やお金を使ったことの通知、代理人の切り替えなど、本来であれば人手で処理をしていた作業をアプリ上で完結させるため、手数料を抑えることができたと言います。信託金額が5000万円以下なら、通常5%以上の手数料がかかる可能性がありますが、アプリ経由では1.5%で済むことになります。

みずほ信託銀行は遺産整理で、対話アプリ「LINE」を使ったサービスを2018年8月から始めました。従来の遺産整理は相続人の確認や財産の確認、名義変更を信託銀行の担当者が代行し、手続きは対面で進められていました。多数の相続人や相続財産がある人を想定しており、最低の報酬額も税別で100万円からとなっています。

LINEを使った新サービスは相続人が5人以下、相続対象の不動産は亡くなった人の自宅のみに限りますが、基本報酬額は43万2千円となっています。申し込み前の相談、対象財産の指定、換金手続き、報告書の作成など各種手続きをLINEのやりとりで完結できます。書類の確認と承認はLINEで送られてきた電子私書箱にアクセスしてネット上で完結します。

50代の働き盛りの相続人が多い中で、隙間の時間で効率的に手続きを進められるよう工夫されていて、LINEで疑問点を24時間相談できる機能も盛り込まれています。

今後行政の手続きもオンライン化していくことや、お金のやりとりもキャシュレス化していく中で、今までにないサービスが次々に出てくることが想定されます。使える人には便利ですが、使えない人には不便になっていくかもしれません。誰もが使えるサポートも合わせて考える必要があります。


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