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シニア世代の資産管理 〜シニア世代へのF Pアドバイスのポイント〜

人生100年時代では、これまでのように65歳以上を「老後」としてひとくくりにしたようなアドバイスでは不十分となりました。日本老年学会・日本老年医学会では「高齢者」の定義を見直し、65〜74歳を「准高齢期」、75〜89歳を「高齢期」、90歳以上を「超高齢期」と提言しています。それぞれの世代の特徴と課題についてみてみたいと思います。

准高齢期(65〜74歳)は、一般的には会社を引退し、事業から引退する人が多くなる世代といえます。まだまだ心身ともに健康で将来に対する漠然とした危機感はあるものの、具体的に行動を起こしている人は多くはありません。しかし、この時期にしっかりと相続を含む財産管理の対策を始めることで、安心した老後を迎えることができます。

親がまだ存命な場合も多く、親の財産管理と自身の財産管理を並行して対策する必要がある方もいます。また持ち家比率も高く、高齢者施設に移る可能性も考えながら、親の土地と合わせて今後の土地の活用法も考え始める必要があります。

子どもたちが子育てにお金がかかる時期なので、子や孫に生前贈与をおこなうケースも出てきます。しかし、まだ先の長い准高齢期において生前贈与を考える際には、自身のこれからの生活費や病気・介護にかかる費用、家のリフォーム費用、旅行や趣味などの費用をしっかりと確保した上で、どの程度の額を贈与するのか明確にすることが重要です。先に贈与しすぎた結果、自身の生活が苦しくなったり、老後の楽しみを我慢することになっては元も子もありません。

高齢期(75〜89歳)は、相続を中心とした終活のコアの層といえます。遺言書の準備や二次相続対策、民事信託、成年後見制度など考えることが多くなります。一方、身体機能や認知機能の衰えをより感じやすくなり、配偶者を亡くし、単身になる人も増えてきます。まずは認知機能が衰え判断が危うくなる前に、財産管理や相続・事業承継について対策をすることの理解と実施が必要になります。自宅から高齢者施設や介護施設に移るなど住まいの変化も起こりえます。自宅で暮らす場合でもバリアフリーにリフォームするなど、住まいにかかる出費が多くなります。施設入居をする場合は、自宅の売却費用で賄うのであれば具体的な資金計画が重要になります。相続対策の話は家族だからこそ話しづらい内容になります。F Pなど第三者が間に入り、本人と家族にとって良い対策方法を円満、円滑に進めていくことが大切です。

超高齢期(90歳以上)は、生活や環境がほとんど定まっている年代であり、大きな変化は難しいため、この年齢に至る前の対策が重要です。この年代になる前に終活を終えていることが理想ですが、もし終えていないようであれば早急な対策が必要です。成年後見制度や民事信託の準備をしないまま判断能力が著しく低下してしまうと手詰まりになる可能性があります。財産管理は早ければ早いほど打てる手が残されているので、出来るだけ早い対応が望まれます。

一方で、この世代は意見を聞かない、考えを曲げない人も多く、人生の最期を考えたくないという方もいます。対策をしなければ残された家族が困ってしまうので、第三者のF Pが説明することで聞き入れてもらう工夫をしたり、家族ができる対策を実行しておくことも必要です。


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