新型コロナウイルスの感染が拡大し、日本国内でも医療現場を始め様々な場面で対応をせまられています。陽性者はホテルで療養するなど、通常とは異なる治療の経過をたどることもあります。公的な支援や対応する民間の保険などについてまとめてみました。
感染の有無を調べるのに「P C R検査」が必要になります。5月初旬では帰国者・接触者外来のほか、医師会と自治体などが設けた検査所などで実施がされています。P C R検査の料金は約2万円です。ただ、新型コロナについては3月上旬から健康保険が適用されるようになり、原則3割が患者負担ですが、公費が出るため検査の患者負担はゼロが基本です。
検査以外の診療分については通常と同じ3割負担となります。しかし、検査結果が陽性で、新型コロナが理由で指定の医療機関に入院することになった場合、平均的な所得の人であれば、投薬や入院、検査の費用は全て公費から出ます。病院の代わりにホテルなど宿泊施設で療養をする場合も、基本的な食費や滞在費はかかりません。ただ、衣類や歯ブラシなどの日用品や、洗濯などの費用は自己負担となります。
いざという時に備えて民間の保険に加入している人も多いと思いますが、その保障内容についても各保険会社が対応を発表しています。
入院に備える医療保険や万一に備える生命保険は、基本的には原因となる病気は問いません。新型コロナでの入院なども保障対象となります。療養が長くなれば、損害保険会社の所得補償保険で給付を受けられることもあります。
日本生命保険など大手保険会社は新型コロナに感染してホテルや自宅で療養した場合、医療保険などの入院給金の支払い対象にすると決めました。通常は入院していた日数に応じて給付金が支払われますが、医師の証明書があればホテルなどの治療期間を「入院」扱いにします。その他の外資系や中堅の保険会社でも、同様の対応が広がっています。
メットライフ生命保険などはオンライン診療や電話で診察を受けた場合に「通院」とみなすことにしました。入院後などの通院を保障する契約をしていれば、自宅にいて診療を受けても給付金を受け取れます。マニュライフ生命保険は保険の契約者や被保険者が新型コロナに感染した場合、治療の有無に関わらず、お見舞い金として一律5万円を支払うことを決めています。
生命保険には不慮の事故や災害、特定の感染症などで亡くなった時に保険金を増やす「災害割増特約」をつけられる商品があります。大手生命保険会社はこの災害割増特約の対象に新型コロナを加えることにしました。かんぽ生命保険も特定の原因で亡くなった際の保険金を2倍にする「倍額支払制度」の対象にしました。この制度は養老保険や終身保険などの被保険者の約9割が該当すると言われています。
その他、給付請求をスマホのアプリからできたり、加入している保険の見直しを非対面でもおこなえるよう整備が進められています。
未曾有の体験に対しては、柔軟な対応とスピードが大事になります。死者を少なくするために今後の対応にも注目されます。