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「健康経営」で企業を評価 〜スマホアプリで健康管理〜

“従業員の健康維持・増進に配慮した経営をしているか?”
こうした観点から企業を評価する動きが広がっています。自社の従業員がいきいきと働いてこそ持続的な成長につながる、との考えから健康経営に取り組む企業も増えました。その影響を受け、健康を支援する関連産業の市場拡大も見込まれています。そしてコロナ禍が続くなかで「健康」テーマがさらにクローズアップされています。
なぜ健康を重視した経営が注目されているのか。企業価値への影響は大きく2つあると言われています。1つは社内の生産性の向上です。社員の欠勤や離職率が減り、医療費の負担減も期待できます。また、働きやすいとの認識が広がれば、社員の採用でも有利に働きます。
もう1つは社外からの評判が高まる効果です。患者様や取引先からの信頼が得られるほか地域へのイメージもよくなり、企業ブランドの向上に繋がります。世界の潮流としてESG(環境・社会・企業統治)を重視した投資が広がっている中で、健康経営は社会問題(S)や企業統治(G)にかかわるテーマとして取り上げられます。
企業が健康経営を進めれば、関連産業も拡大する効果があります。そのため、メンタルヘルス対策、関連アプリなど健康保持・増進に働きかける産業の伸びが予想されています。
製薬大手のエーザイは、ディー・エヌ・エー(DeNA)と連携し、脳の健康管理アプリを提供し始めました。40〜50代の利用を想定しており、アプリでは食事や運動、睡眠などの管理ができます。食事は、スマホで写真を撮るだけで栄養素やカロリーを推計するほか、ウエアラブル端末と連携すれば、歩数や睡眠時間も自動測定ができます。利用者の行動に応じてポイントがたまり、他社が提供する他のポイントなどと交換ができます。
DeNAグループは健康管理アプリ「kencom(ケンコム)」も手掛けていて、各業種の健康保険組合を通じて利用されています。
新薬の研究開発は一般的に治療も含めて9〜16年、数百億円以上かかるとされています。一方、アプリ開発の期間はこれより短く、費用も数億円で済むケースがあるといいます。健康管理アプリは、収益源だけでなく、患者との接点を増やしたりデータ収集によって新しいサービスの創出につなげられる期待から注目がされています。
エーザイの執行役員はこのアプリサービス記者会見で、「薬以外でもいかにサポートするかが極めて重要だ」と強調しています。アステラス製薬もバンダイナムコホールディングスのグループ会社とゲーム形式の運動支援アプリを開発中です。
製薬会社は治療薬から健康な人も対象にした病気の予防へと事業領域を広げています。これは最近の生命保険会社も一緒です。疾病の治療に対し給付金を支払う保険商品から、健康管理アプリと連動して病気にならないための予防に焦点を当てた商品開発が進んでいます。
海外では先行していますが、国内でも治療用アプリの開発が進められています。
予防・治療に医療がどのように関わっていくのか。今後ますます目が離せません。

 


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