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生命保険に「健康増進型」の波 〜体重改善・禁煙で保険料割引〜

健康改善で保険料を割り引いたりキャッシュバックのある「健康増進型保険」が広がっています。2018年住友生命の「Vitality(健康増進型保険)」を皮切りに、東京海上日動あんしん生命の「あるく保険」、明治安田生命の「みんなの健活プロジェクト」など、生命保険各社が病気やケガの経済的な保障だけではなく、健康であり続けることも目的にした健康増進型保険に関心を示すようになりました。そして最近ではSOMPOひまわり生命保険が、「原則全ての個人保険商品を健康増進型に切り替える」と宣言し話題になりました。全面転換する生命保険は初めてで、保険料体系のあり方に一石を投じることになります。
SOMPOひまわり生命の新契約に占める健康増進型保険の割合は現在約25%とのことで、今後5年計画でビジネスモデルを転換させるそうです。
販売する健康増進型保険の名称は「インシュアヘルス」。代表的なのは、設定した目標に対する血圧や体重などの改善に応じて、保険料が引き下げられ、さらに過去の加入期間に遡って保険料の差額もキャッシュバックされる商品です。喫煙者が禁煙し、BMI(体格指数、18〜27)や血圧(最高140未満、最低90未満)で定められた数値を満たせば、保険料が最大3割引き下げられます。さらに、契約日に遡って還付金が受け取れるのが特徴です。
また、予防治療を始めた場合などに一時金を支給する仕組みもあります。例えば同社が扱う糖尿病患者向けの医療保険では、定期的に健康診断の数値を提出してもらい、対象の数値が一定を保てたり、また数値が改善すると、一時金として1年に1ヶ月分の保険料が還付されます。
そして契約者には、健康サポートするアプリを提供し、日々の歩数や睡眠などのライフログを管理します。また、健康診断結果をスマホで撮るだけで値を数値化してアプリに読み込み、A Iが診断結果を基に異常予測を示し将来の発症リスクを知らせてくれます。
さらに、認知症を早期に発見するアプリも提供しています。このアプリでは、スマホにて認知機能テストや脳ケアプログラムを定期的に行うことで認知症の兆候を事前に察知し、認知症の進行を遅らせることができます。
保険会社が健康増進型保険へ転換に踏み切った背景には、こうしたIT(情報技術)を活用して契約者の健康状態をきめ細かく把握できるようになったことが挙げられます。またビックデータを活用した分析やA Iによる健康週間の促しで、今まで気づかなかった健康リスクを未然に把握し、その対策が打てるようになったことも大きな進歩です。
生命保険の市場は、低金利下の中で商品競争が激しくなり、商品内容の違いを見出すことができずに、保険料の引き下げも一定の段階まで到達しました。この打開策として消費者ニーズが高まっている健康増進型保険に目を向け各社競争力を付けたいという考えです。
一方、生保と組む製薬会社やヘルステック会社にとっても保険会社が持つ健康関連の膨大なデータは大きな魅力です。健康データと支払いデータを分析して、予防に必要な薬を提案したり、病後に運動プログラムを提案したりと新たな収益源として期待されています。
今後の生命保険に対する価値観が大きく変わるかもしれません。


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