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日本株の成長、長期では見劣り 〜国内だけでは世界的な成長の恩恵を得られない~

コロナ禍の影響で経済の悪化が心配されている中、世界的に株価が上昇している様子をみて不思議に思っている方も多いのではないでしょうか。日経平均株価は29年半ぶりの高値に沸いており、アメリカではダウ平均が史上最高値の30,000ドルを超えました。
この世界的な株高の背景には強力な各国の金融緩和があり、そこにコロナワクチンへの期待などが加わり、世界同時リスクオンの様相を呈しています。また、株だけではなく、金やビットコイン、都心部の投資マンションなども上昇し、まさに物の価値が上がり、お金の価値が下がるインフレ状態となっています。
その中で、注目していただきたいのは国ごとの差です。長期的な観点では国によってパフォーマンスの違いが見えてきます。主な国・地域の代表的な株価指数をみると、米ダウ平均をはじめとして韓国、台湾、インドなどが過去最高値の更新を続けています。対して日本株は長い目で見れば、未だ最高値の更新はされずレンジ内での値動きです。
過去20年間で各国の株価指数を比べてみると、日本株は46%上昇したのに対し、米国株は2.9倍、中国株は4.7倍にまで膨らんでいます。全世界の株価指数も2.2倍になっており、日本は劣後しているのが分かります。世界のイノベーションやリスクマネーが集まる米国や中国、人口増加を追い風に経済を拡大させる新興国の国々など、長期的にみると世界の成長を実感することができます。
現在、世界の株式市場の上昇波動は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が主役です。歴史的に、株式市場には10年単位の長期波動があると言われています。これは、経済や産業が10年単位で構造変化を起こすためです。しかし、2010年代は米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)が主役となり、スマートフォンの出現と共に生活スタイルが大きく変わりました。卓越したビジネスモデルと技術力を持つGAFAは、市場成長の恩恵を大いに受けました。スマホを開発したアップルの時価総額は、09年末の18兆円から20年11月には202兆円と10倍以上になりました。日本のキャノンやパナソニックの時価総額が2兆円台であるのと比べると、いかに大きな成長だったかがわかります。
20年代のテーマはDXになるといわれています。DXはこれまでアナログであったものをデジタルに置き換えるだけではなく、それによる行動パターンまで変えてしまいます。代表的な会社として米国のテスラやズーム、ペイパルなどが挙げられます。ズームは新型コロナウイルス前には使っている人は多くありませんでしたが、今ではズームを使った会議やセミナーは普通のこととなり、株主総会や複雑な商談などもズームで済ませるようになりました。まさにリアルな対面がデジタルに置き換わり、行動様式が変わったわかりやすい例です。
テスラは電気自動車(EV)の代表格の会社ですが、世界的な脱炭素化の流れから、ガソリン車がEV車へ置き換えられようとしています。テスラの特徴はEV車をオンラインで販売し、車をソフトで動かしインターネットを通じてスマホのようにバージョンアップさせることです。時価総額はトヨタ自動車の20兆円を大きく超え54兆円となっています。今までの車の概念をデジタル化で大きく変えようとしています。
これからの20年、世界は大きく成長し変わっていくでしょう。
そして、日本国内だけでは得られないその恩恵を私たちも実感していくことになるでしょう。


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