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本気のD X、変革と改善・生存条件に 〜コロナ後の世界に生き残れるか!?

新型コロナウイルスの名前を聞いてから丸一年、未だ収束はせずその対応は2年目に入りました。新しい生活様式が導入され、仕事の進め方も一変しました。D X(デジタルトランスフォーメーション)はコロナ禍の前から求められていましたが、この期に一気に必要性が加速しました。D Xは単なるデジタル化ではなく、トランスフォーメーション(変革)にこそ意味があります。
このDXによって今までのビジネスの常識が変わり、定石を変えて、新たな競争が生まれています。
中外製薬では、デジタルな製薬企業へ変貌(トランスフォーメーション)をしようとしています。19年秋から「デジタル戦略委員会」を設置し、各部門のトップが議論を交わしています。この取り組みのカギは、組織を超えたデータとA Iをフル活用した新薬開発です。新薬開発の成功確率が10倍以上に跳ね上がり、1000億円超の費用が半減しうるとの試算があります。
A I創薬だけではありません。D X観点で全ての業務を見直しています。例えば医師のもとに足しげく通うことが営業活動とされていましたが、組織をまたいで収集した様々なデータを分析すれば、何がニーズで、どのような情報提供が効果的かをあぶり出し、ベストな営業をかけることができます。
D Xは課題ではなく、もはや生存条件になりました。昨年末に経済産業省が公表したD Xに関するリポートの一文では、「今すぐ企業文化を変革し、ビジネスを変革できない企業は、確実にデジタル競争の敗者としての道を歩むであろう」と記されています。大企業を中心とする約220社の自己検証結果によると、部門横断でD Xが進んでいるのは全体の5%にすぎませんでした。中小企業も加えた日本の産業は危機的な状況にあります。アマゾンやGoogleなど(中国ではアリババやテンセントなど)巨大なデジタルプラットフォーマーが経済圏を広げる中、ものづくりを得意としてきた日本勢の存在感は年々薄れています。
日本がデジタル化に遅れた一つの要因として「ものづくり」文化が挙げられています。既存の技術を少しずつ改善し、コストを下げ、機能を付加し、品質を向上する。いわゆる「カイゼン」は、トヨタを代表とする日本の強みでした。この強みは汎用品を大量に生産することの大きな力となり、同じようなものをより安く、効率的に作ろうとする文化として、製造業を中心とした日本の経済成長の源でした。しかしインターネット時代へと移り変わると、本源的な価値の所在がハードからソフトへとシフトしていきました。その結果、ハード重視思考のものづくりは、ソフト軽視をしたまま現在まできてしまったのです。
そのトヨタ自動車の豊田章男社長は、自動運転に代表されるソフトへの大転換を「100年に一度」の出来事として警鐘を鳴らし続けてきました。米のテスラ社では、常時接続したインターネットを介してソフトを自動更新し、走行機能を高度化するOTAと呼ばれる技術を既に採用していますが、トヨタを始め日本でもいよいよ21年から一部の車両で採用される予定です。
D Xは今後のビジネスにおいて欠かせない取り組みです。医院経営においても例外ではありません。患者接点、業務・オペレーション、仕入れなど様々な観点で業務のトランスフォーメーションを進める必要があります。