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ビットコインの価値は本物か? 〜決済手段・投資資産としての有効性

暗号資産(仮想通貨)の代表格、ビットコインが金融市場で存在感を高めています。米テスラなどの企業や機関投資家による投資が拡大し、決済などの関連サービスも急速に広がり始めています。一方で、値動きの荒さや環境負荷などの課題を指摘する声も根強くあります。肯定派と否定派の議論を参考に、ビットコインの価値を探ってみましょう。
ビットコインは2008年10月に、中本哲史(Satoshi Nakamoto)と名乗る人物がインターネット上に投稿した論文によって、提唱されました。2010年2月に、ビットコイン両替ができる最初の取引所が誕生し、ビットコインを使った決済が行われるようになりました。
ビットコインは、国家単位で運営されている円やドルと同じく、経済活動を円滑に進め、世界中の日常生活で「使える」ようにすることを目指して作られています。また、まだまだ発展途上ではありますが、円やドル以上に利便性が高く、安定し、世界中で利用できる次世代の通貨を目指して作られているものが仮想通貨です。
ビットコインの価値は、個人の取引を中心に2017年に2万ドルまで上昇した後、2019年までの間は、ほぼ1万ドル以下で推移していました。しかし、2020年に流れが変わります。8月に米ソフトウェア企業のマイクロストラテジーがビットコインに投資することを発表しました。「(コロナ対策での)大規模な金融緩和でドルの価値が下落すれば、収益に響きかねない」というのが理由でした。現金保有による株主価値の毀損を回避するための企業戦略として、ビットコイン投資を肯定したのです。
これまでは個人やヘッジファンドなど短期マネーを中心としていた仮想通貨投資でしたが、ここにきて企業のほか、年金基金や保険会社の間でも仮想通貨の運用需要が高まるとの見方が強まりました。今年2月には米カルフォルニア州職員退職年金基金が保有するビットコイン関連の株式を7倍近く積み増していることが判明し、米生命保険会社マスミューチャアルが約100億円をビットコインに投資するなどのニュースが流れました。また、2月にイーロン・マスク氏率いる米ステラが、15億ドルのビットコイン保有を明らかにしました。テスラ社のE V車の決済をビットコインで行えることも発表しています。
米決済大手のペイパルでは、今年3月から世界の加盟店2900万店舗で仮想通貨の決済が可能となりました。これらのことから、ビットコインの価値は最近1ビットコイン=6万ドルを超えるところまで上昇しています。
一方、否定派の意見も根強くあります。イエレン米財務長官は、「決済手段として非常に非効率」と、ビットコインがマネーロンダリングに利用される恐れがあるとして、不正決済を危惧しています。また、ビットコインの取引データが適正かどうか検証・承認、記録する「マイニング」作業は多くの電力を必要とし、大量の二酸化炭素を排出するため、環境に負荷をかけているとの批判もあります。
否定派の抱く不信感を、決済手段や投資対象としての実用的価値が上回るのか。今後のビットコインの存在に目が離せません。


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