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資産が増えるだけでは幸せになれない ~マネーデザインで心のゆとりを~

人生100年時代では、残りの人生を考慮しながらお金と健康の
バランスをとっていくことを考えなくてはなりません。その軸となる
のが「幸せの体感」です。幸せを「なる」ものではなく日々「感じる」
ものだとすると、自分自身の「価値」を大切に、柔軟なライフデ
ザインを考える必要があります。
2021年に第一生命経済研究所が実施した調査から、家計の金
融資産額と幸福度得点の分布を分析すると、金融資産がない人
の5.6点から、3000万~5000万円の人の6.9点まで、金融資産額
が増えると幸福度は上昇していることが分かります。ただ、その
増え方は正比例ではなく、金融資産500万~700万円あたりで頭
打ちになります。
多額の金融資産があるほど幸福度が上昇するわけでなはなく、
上昇幅はだんだん縮んでしまいます。これは資産が100万円増
えたとしても、元々の金融資産が300万円の人に比べて、資産
が3000万円ある人は少ししか「幸せ」を感じないというような現
象です。
世の中には同じ額のお金を持っていても、「十分足りている」と
感じる人もいれば、「まだまだ足りない」と感じる人もいます。そう
した感じ方の違いも幸せに影響します。別の調査で「普段生活を
していて、好きなことをしたり、欲しいものを買ったりする経済的
なゆとりがありますか」という主観的な「ゆとり感」を聞いて幸福度
を測ったものがあります。それによると「ほとんどゆとりがない」とい
う人の4.5点から、「かなりゆとりがある」という7.6点まで、得点の
幅が大きいのがわかります。この「ゆとり感」の違いはどこからくる
のでしょうか。
この研究所の調査結果では、一つの要因としてマネーデザイン
をしているかどうかをあげています。仕事、家庭生活、余暇生活、
老後の生活など全てを含んだ幅広いライフデザインを深く考えて
いる人ほど、経済的なゆとり感が強いことを指摘しています。こう
した傾向は若い人などお金に余裕がない人でも当てはまります。
ライフデザインができている層については、金融資産が少なくて
も経済的ゆとりを感じる割合が高い傾向にあります。一方、ライフ
デザインができていない層で金融資産が1000万~2000万円ある
人の結果では、経済的ゆとり感ができている人と比べて劣る結果
となっています。
通常、金融資産を積み上げていくには長い時間がかかります。
それでも、自分自身が目指したいライフデザインを考えていくこと
で、目標に向かって進んでいく具体的な道のりがイメージできるよ
うになり、実際にお金が貯まるより先に、主観的な自己認識であ
る「経済的なゆとり」を実感しやすくなると考えられています。
資産形成をすることで幸福度得点は緩やかに上昇していきま
す。ただし資産形成を「幸せ」感の向上に結びつけていくには、
ライフデザインをして、将来の夢や目標の実現に必要な金額に
目星をつけることが第一歩です。さらに目標を阻害するリスクを具
体的に考え、準備することで、将来に対する漠然とした不安感
を解消し、「経済的なゆとり感」を醸成することが大切です。


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