「100年人生時代がやってくる。」この超長寿社会に向け、「教育→勤労→引退」の人生から、生涯で複数のキャリアを持つ人生へのシフトを勧めるリンダ・グラットン著『LIFE SHIFT』が大きな反響を呼んでいます。
LIFE SHIFTの提言は、世界で長寿社会の先を行く日本人にとって、これからの生き方の参考になるはずです。著者のメッセージとともに本の内容をここで取り上げたいと思います。
100年人生というと、多くの人はこれからの時間を長く感じ、晩年の過ごし方にばかり注目してしまいます。長寿化する人生では、ある時は仕事に集中し、ある時は自分への投資に専念するなど、人生のステージを変えていく必要があると本では述べています。各々が人生を再設計しなければならないと・・・。
長寿社会を生きていく上でお金の準備も必要ですが、お金に換算できない価値、すなわち無形資産の重要性も説いています。人脈や知識、健康といった無形資産は、金融資産と同様に重要で、長い人生を支えてくれます。
100年時代を設計するのに、まずは健康を意識することが大事です。長寿社会で最大の恩恵は、単に長生きになっただけではなく、健康に長生きできるようになったことです。健康をベースに学び続ける姿勢を保つことが必要になります。最近のデジタル社会への大きな変化も、どんな年齢でも意識してついていく必要があります。年を重ねると職場や同業者など似たような人とばかり接しがちです。年配者こそ若い人と時間を過ごしたり、異なる価値観の人と接することも重要です。
国連の推計によると、2050年までに日本の100歳以上の人口は100万人を突破する見込みです。今年10歳になる2007年に日本で生まれた子供の半分は、107年以上生きることが予想されています。長寿化時代では、人生のあり方は根本的に変わります。今までの時代は、3ステージを基準に人生の計画がなされていました。「教育」、「仕事」、「引退」です。
一般的には、20歳過ぎまで学校で教育を受け、65歳前後まで勤労期間として働き、寿命80歳前後までの老後を余生として過ごす。これを人生のモデルとして国も企業も個人も計画がされてきました。しかし、長寿化が進み引退後の時間が長くなってくると様々な問題が起きてきます。
人生はより長く健康になると、3ステージでは計画ができず、マルチステージ化すると予想しています。生涯に2つ、3つのキャリアを持ち、年齢とステージがイコールで結びつかなくなる。それにはお金だけではなく、見えない「無形の資産」(スキルや知識、健康、多様性、など)の蓄積が大切だと言っています。さらに、余暇の時間はレクリエーション(娯楽)ではなく、リ・クリエーション(再創造)に使う自己投資や、夫婦が互いに役割を調整し、人生の様々な時点でサポートし合うことの重要性も解いています。
長寿化がもたらす恩恵は、「時間」という贈り物です。人生が長くなれば、目的意識をもって有意義な人生を過ごすことができます。前向きに生きるためにも、100年人生の計画を考えてみませんか。