「働き方改革関連法案」が成立した2018年は、日本経済にとって歴史的な節目の年となりました。
同法案は、大きく3つの柱で成り立っています。
・働き方改革の総合的かつ継続的な推進(雇用対策法改正)
・長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等(労働基準法等改正)
・雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保労働時間「時間外労働の上限規制の導入」
では、具体的には何を改善したらよいのか…対応ポイントをいくつかご紹介いたします。
1 労働時間制度の見直し
まずは「労働時間制度」!企業で働く人に大きな影響を及ぼす改正の1つが「時間外労働の上限規制の導入」です。一部職種を除き、時間外労働上限が月45時間年360時間となります。「働き方改革」を意識した改正労働基準法においては、以下の3点がポイントとなります。
・ 臨時的な特別な事情がある場合でも、限度時間上限は720時間とする
・ 休日労働を含み、月100時間未満とする
・ 複数月いずれも、休日労働を含んで月平均80時間以内とする
2 有給休暇の消化義務
今回の改正では、企業に対して年次有給休暇の取得が義務化されます。
年間10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対して毎年5日以上の時季を指定する必要があります。有給休暇の取得率に関する調査において日本は最下位であり、有給休暇の平均消化率は48.7%という結果が出ています。
3 同一労働同一賃金
非正規雇用(パート、アルバイトなど)と正規雇用の間の不合理な待遇差の解消するための制度です。
いかなる雇用形態であっても同一の貢献をした場合は同じ給与・賃金が支給しなければならないという考え方です。厚生労働省は「有期雇用労働者の均等待遇規定を整備」することを指定しています。
4 勤務間インターバル制度の普及促進
「過重労働による健康被害予防のため、勤務の終業時間と翌日開始の間を、一定時間空けて休息時間を確保する制度」です。勤務間インターバル制度とは、勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間を確保する仕組みです。
5 高度プロフェッショナル制度の創設
高度の専門的知識を必要とする業務に従事し、職務の範囲が明確で一定の年収(年収1075万円以上を想定)を有する労働者を労働時間の規制から外す仕組みで、通称「高プロ」と呼ばれる。労働者本人の希望が前提となるのですが、「高プロ」制度を企業がどう生かして生産性を高めていくのかは今後の課題と言えます。
6 産業医・産業保健機能の強化
企業が労働者の健康を適切に管理するため、産業医の巻き込みや環境整備について「事業者における労働者の健康確保対策の充実・強化」が必要となります。企業は、長時間労働者の状況や、従業員の業務の状況など、産業医が従業員の健康管理を適切に行うために必要な情報を提供しなければなりません。
仕事とは職場に行くことが目的ではありません。「仕事とは何か」を再定義し、習慣を変える必要があります。顧客(患者)の抱える問題を解決し、その見返りとして利益(受診料)を得ることが最終目的です。働き方改革とはゴールにたどり着くためのプロセス刷新、アイデアを多く生む土壌づくりなど、新たな場づくりが必要になります。
働きやすさと働きがいを追求し、職場がトップダウンから、空間にとらわれない「考える集団」に変身できるかが経営者、社員の双方のハッピーにつながるのではないでしょうか。