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医療現場にもDXの波 〜新興勢力が台頭

新型コロナウイルス対策の規制緩和でオンライン診療が時限的に認められるなど、病院や診療所でもデジタル化の機運が高まっています。そして、患者情報を一元管理できるシステムをはじめ、オンライン診療のアプリ、病院経営の改善を後押しするソフトウエアなど商機は広がりをみせています。日経新聞の記事を引用し、売上高100億円以下の中堅上場企業「NEXT1000」で、医療機関のデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しする有力企業についてご紹介します。
ファインデックスの主力製品である画像管理システム「クライオ」は、コンピューター断層撮影装置(CT)で撮影した脳や、内視鏡で見た大腸など、患者の検査画像データを一覧できます。同社は検査機器ごとに画像を管理していた不便さに目をつけ、2003年にいち早く画像管理システムの提供を始めました。このシステムの国立大学病院でのシェアは8割に達します。
また、同社は周辺分野にも手を広げ、診断書を簡単に作成できたり、問診票・同意書を管理できるシステムなどを通じ電子化を後押ししてきました。今後は医療機関同士の連携支援にも注力するようです。まずは、京都大学の事業子会社と共同で設立するシステム販売会社が4月にも事業を始める計画です。
コロナ禍では、対面での相談や営業が難しくなりました。そのため、医師同士のほか、患者や製薬会社とのコミュニケーションでもオンライン化の需要が伸びています。
メドピアは医師特有の疑問や悩みを解決する医師向けのウェブサイト「メドピア」を提供しています。国内の医師の3分の1にあたる12万人が利用し、医師からは「質問を投稿すれば、同業者から必ず何かしらのヒントを得られる」と評価を受けています。これまで医師が研究目的で同業者と会う機会は、学会や研究会などに限られていましたが、コロナ禍で学会も開催できないなかの代替としてユーザー数や利用時間が伸びているようです。
一方、メドレーは医療機関にオンライン診療システムを提供しており、患者はスマートフォンのアプリを通じ診療を受けられます。提供先は20年12月末時点で2400施設と1年で2倍になりました。
コロナ禍で手術の休止や健診の中断により収益が悪化する医療機関も相次ぎます。もともと診療報酬の引き下げや人口減で医療機関を取り巻く環境は厳しく、経営改善を支援するソフトの需要も増えています。
メディカル・データ・ビジョン(MDV)は、病院が診療報酬の請求を行うために作成するデータをもとに、患者数や在院日数、薬剤処方などを他施設と比較分析できるツールを提供しています。全国に約1750施設ある、DPC(包括払い方式)病院と呼ばれる高機能病院でのシェアは約45%になります。
さらに、集めたデータから製薬会社や研究機関、保険会社などが求める情報を分析して提供する「データ活用事業」にも力を入れており、医薬品や健康支援サービスの開発に役立つデータを提供します。
株式市場もデジタル医療の担い手企業に期待をかけています。メドピアの株価は1年前の4倍強、MDVも3倍弱になりました。規制緩和の進展にもよりますが、中長期での市場の成長を期待されています。